前回と合わせてどうぞ

【ドラフト基本編】
 ドラフト経験数の少ないプレイヤーが最初に気をつけるべきことは強いカードマナバランス良く取ること。流れを見るのは難しいので「始まる前にこの色で取ろうと決めておく」or「最初の数ピックで対抗色2色(理由は後述)を決めてしまう」のがコツ。

●強いカード(=高い点数のカード)を取る
 恐らくドラフト慣れしてない人はここが一番難しい。テーロスやM15では《帰化/Naturalize》がメインに入り得るがタルキールでは入らないように、同じカードでも環境によって異なる。そこで最初はプロの点数表を参考にするといい。毎度LSVが発売日前から点数表を公開してくれているので自分もそれを参考にしてたりする(一見で分かりやすく一覧表にしたものを別途作ったので欲しい人は声かけてね)。ただLSVの点数表は氏の青好きや発売前に書かれたことが影響して若干怪しいところもある。なのでそこからスタートしてカードを使ってみて、使われてみて、評価を上げ下げしながら自分だけのピック点数表を作るというのもドラフトの楽しみの一つ。

●マナカーブやクリーチャーと呪文の割合に気を付けて取る
 英雄が強かったテーロスや召集によってクリーチャーが大事だったM15に比べて、タルキールは長久・獰猛・探査といった重めのキーワードが存在するためやや環境が遅くなっている。作り上げたいデッキタイプによって理想とするマナカーブは異なるが、早いデッキなら1~2マナ4~8枚+3マナ(変異含む)4~8枚+4~5マナ4枚+呪文6~8+土地17遅いデッキなら1~2マナ2~6枚+3マナ6~8枚+4マナ2~4枚+5マナ以上1~3枚+呪文6~10+土地18がある程度の目安だろうか。
 また前回も触れたがリミテッド(=パックを開けてその場でデッキを作って遊ぶ方法)ではクリーチャー戦闘がメイン。長久・獰猛・強襲はそもそもクリーチャーがいなければ機能しないキーワード能力だし、果敢も持っているのはクリーチャー。構築と違ってカウンターを構えつつ、相手が動けばカウンター、動かなければドローという動きもしづらいので、呪文を構えて相手が何もしてこなければ1ターン無駄になってしまう。能動的に動けるクリーチャーを呪文でサポートするというイメージを持ってピックしよう。

●対抗色(カードの裏面にある5つのカラーのうち隣り合わない2色)を中心に取る
 タルキールは楔3色(カードの裏面のry…隣り合わない2色+片方とだけ隣り合う1色)の種族がピックアップされている。よって単色カードをピックする際は対抗色をメイン
カラーに据えておくと

白黒をメインにする→《包囲サイ/Siege Rhino》が流れてきた→アブザンへ
            →《軍族の解体者/Butcher of the Horde》が流れてきた→マルドゥへ

というように2つの種族に渡りをつけることができる。くわえて対抗色にそれぞれアンコモンとレアで強力カードが存在するためそれらをピックしやすくなるというのも魅力。これに関連して《急流の崖/Swiftwater Cliffs》のようなタップインで2色出る土地は対抗色の方が魅力であるということも覚えておきたい。

●種族紹介
【アブザン】
 黒緑か白黒から入る。白黒が全体的に強く、マルチカラーの強力なカードが多いことから今回最強候補。白に絆魂・飛行・先制、緑に到達・トランプル、黒に接死のキーワード能力を持たせる長久がいるのでそれらを並べた時の横のシナジーが強い。キーワード能力を持つ長久に《軍備部隊/Armament Corps》や《増え続ける成長/Incremental Growth》が噛み合ったら大体勝てる。強いカラーリングであるが故に多くの人が選択して混みあう可能性が高いのが玉に瑕。

【マルドゥ】
 白黒か白赤から入る。除去最強種族。キーワード能力は殴っていることが誘発条件となるので前のめりなカードを採用したい。トークンを横に並べる手段が豊富(ex.《子馬乗り部隊/Ponyback Brigade》《軍族童の突発/Hordeling Outburst》等)なのでクリーチャーを横に並べつつ除去で相手のデカブツを対処、フィニッシュは《ラッパの一吹き/Trumpet Blast》という動きが強い。除去最強種族なことを活かして除去を独り占め、クリーチャーは優秀なところしか取らない組み方も可。

【ジェスカイ】
 白赤か青赤から入る。飛行最強種族。キーワード能力は果敢だが基本は殴っていく種族なのでスペルを取り過ぎないようにしたい。強力な飛行を持つ白青にまたがっていることから地上は壁でブロック、上から飛行で殴る、デカブツはバウンスという戦略が強力。個人的にコモン最強変異だと思っている《イフリートの武器熟練者/Efreet Weaponmaster》は上手く決まると相当シャクられるので使い方、使われ方に注意したい。

【ティムール】
 青赤か青緑から入る。デカブツ最強種族。強力なカラーである白黒を一切取らないので最弱カラー候補でもある。その分マルチカラーの強力なカードが流れてきやすく、卓にティムールが一人だけという状況になると強い隙間産業的な種族。獰猛にそこまで依存しないが《高山の灰色熊/Alpine Grizzly》が3マナでありながらパワー4と手軽に獰猛の条件を達成してくれることを覚えておきたい。

【スルタイ】
 青緑か黒緑から入る。墓地利用種族。《宝船の巡航/Treasure Cruise》や《死の投下/Dead Drop》等の普段は重くて使えないスペル、《境界の偵察/Scout the Borders》といった墓地をこやしてくれるスペルの点数が他の種族に比べて高く、こうしたスペルを安く拾えるのが最大の魅力。しかし探査はそのシステム上入れすぎると弱くなってしまうため注意が必要。また比較的不人気なカラーリングなので《スゥルタイの占い屋/Sultai Soothsayer》や《グドゥルの嫌悪者/Abomination of Gudul》といった有用パーツが流れてきやすい点も◎。

●有力カードの出やすさ
白739/黒792/赤634/青902/緑802
アブザン :多色135/単色2333/LSVランク1位
マルドゥ :多色126/単色2165/ LSVランク2位
ティムール:多色114/単色2338/ LSVランク3位
ジェスカイ:多色135/単色2275/ LSVランク4位
スルタイ :多色117/単色2486/ LSVランク5位
 これはLSVの点数表で4点(デッキにギリギリ入るか入らないか)以上のカードが出る確率を数値化したもの。「4点のカードが114514枚、5点以上0枚」「4点0枚、5点以上50枚」では前者の方が高得点だったり、特定の種族では点数の上がるカードがそのままだったりというツッコミ所が有るので参考程度に。

●土地は高い
 タルキールでは自然とデッキが3色になりやすいのでデッキに入るかどうか怪しいカードよりは確実にデッキに入る土地の方が重要。パッと見土地は弱そうに見えるが「このカードさえ出せれば逆転出来るのにマナが出ない」という状況を回避してくれる上にマルチカラーのカードを使いやすくしてくれる。また多色土地を多く拾っていれば4色デッキも可能だったりする。

【ドラフト応用編】
●周囲の人と被らずに取る
 「初手で強い多色のレアを取ったからその色のカードばっかり注視していたら、全然違う色のカードばっかり流れてきていざ終わってみるとデッキに入らないようなカードしか手元に残っていない」ドラフトあるある。余程強いカードではない限り1枚のカードに引っ張られすぎず、「さっきからこの色流れてくるな…」と思ったら途中で色を変えるのも有り。特に上家(自分の右に座った人)は自分より先にカードを選択する機会が多いので出来る限り上家とは色がかぶらない方がいい。
 また種族特有のカードパワーの高いカード、分かりやすい例でいうと《アブザンの魔除け/Abzan Charm》を筆頭とする魔除けシリーズや《アブザンの先達/Abzan Guide》《イフリートの武器熟練者/Efreet Weaponmaster》といった変異シリーズ等々。これらは自分と色が3色かぶっていなければ使えないため取りづらい。そこで1人しか使っていない種族を見極めることができるとそれらのカードを安く拾えるという特典もある。

●シグナルを読む・出す
 シグナルとは「このカラー使ってるよ!」という主張。偶然出てしまうこともあれば故意に出すこともある。「7手目に《グドゥルの嫌悪者/Abomination of Gudul》が流れていれば卓にスルタイはいない」「5手目に《引き剥がし/Force Away》が流れてきたから上家に青は薄い」等が分かりやすいシグナル。これをしっかり把握して周りと色の住み分けをすることがドラフトの秘訣。
 逆にシグナルを出したい時に簡単な方法は特定の色を流すand枯らす。強いカードだけど今使っているカラーとは合わないカードを優先的に流して、強さはイマイチだけどカラーに合っているカードを拾い集めるという単純な方法。特に1パック目はこれが有効。
 また同一パック内に特定のカラーのカードがいっぱいあった場合はそれを避けるというテクも有効。「白の強いカードが3枚!強いしこれにしよう」とすると下が「白に2枚強いところあるし、白は空いてるんだな」と勘違いして白をやりはじめて逆順で白が流れてこない可能性が高まるからだ。

●変異について
 今回のメインキーワード能力である変異。これをめぐる読み合いがタルキールドラフトの面白さの一つ。まず変異クリーチャーは無色3マナ2/2で出せるという安定性が魅力。特に表になったら大きいクリーチャーは「デカブツをデッキに入れながらもハンドが重すぎて動けない」という状況を回避してくれる。ほとんどのデッキに変異が1枚は入っていることだろう。
 そんな変異を相手の起きてる土地から推測できるようになるのがベストだが全部覚えるのは面倒。そこで「5マナ以上かかる変異でなければ2/2が一方取られることはない」→「相手が4マナオープンで変異が殴ってきても変異でブロックすれば一方取られない」「相手が5マナオープンで変異が殴ってきたら怪しいので変異でブロックしない」ということだけは覚えておきたい。
 またこれに関連して「3t目に変異を出し合って終わることが多い。先手はマナを立てながら変異で殴れるというメリットがある」「どちらの場にも変異が出ているのに相手が殴ってきた=そのクリーチャーは変異してもあまり強いクリーチャーではない」「どちらの場にも変異が出ているのに相手がブロックしない=そのクリーチャーは表返したい強力なもの」「3t目と4t目で出した変異のうち、後から出されたものの方が除去されたくない強力なもの」という定石とそれを逆手に取ったブラフも頭に入れておこう。

●コンバットについて
 あまりリミテ慣れしていない人の勝負を見ていて特に気になるのが「チャンプブロックが早い」「スペルを重要な場面以外で使ってしまう」の2点。
 まずチャンプブロックが早いという点。リミテッドでは構築で余り見られない複数ブロックが頻発するのでブロックしても勝てない相手は極力ブロックしないことが重要。今は勝てなくても取っておくことで後々複数ブロックに役立つ盤面が出てくる。そして複数ブロックをめぐる攻防でブロック側は「複数でブロックして何もなければ数体が生き残るようにする」アタック側は「マナが立っていれば片方を除去することで一方的に勝てる」という点を考えながら動きたい。
 次にスペルを早く使ってしまうという点。例を挙げると「2マナ余っているから出てきた3マナクリーチャーに《引き剥がし/Force Away》を使ってしまう」「早く殴るデッキではなく、そいつがいてもいなくても盤面に大きく変化がない相手に強力除去を使ってしまう」のような場面。基本的にクリーチャーを先に展開、スペルは取っておきここぞいう場面で使いたい。《引き剥がし/Force Away》で言うならば「複数でアタック・ブロックになった時キーワード能力を付与しているクリーチャーをバウンス」「コンバットトリックで強化されたクリーチャーをバウンス」等致命的に刺さる局面がある。余程偏ったデッキでも無い限りはそのような局面までしっかりとハンドに取っておきたい。

 長々と書いてきましたがこれと点数表を確認した後に数回ドラフトをやり、流れが分かればある程度勝てると思います。まだ書こうと思えば色々書ける部分はあるけど一度に書いても混乱を招くだけなので自重。何かあれば個別に連絡ください。
後来年の1月にGP静岡でシールドのGPがあるので参加したいという人がいればシールドのコツも書きます。GPはMTGの醍醐味的な所があるので是非是非。

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